台湾ならではの植物や昆虫、動物などに見聞を広めることも、台湾でしか取り組むことができないですし、ロングステイの大きなテーマに成り得ますよね。だとしたら、この安康胡蝶生態教育園区・牛伯伯胡蝶園は決して外せない施設だろうと思われます。北台湾でロングステイ生活を送る際には、ぜひ、立ち寄っていただければと思います。それでは、牛伯伯胡蝶園の第2回目として、安康胡蝶生態教育園区・牛伯伯胡蝶園がスタートする最初の部分、そして牛伯父さんの自然との格闘の様子をお伝えします。
環境保護のために全てを注ぎ込む
牛伯父さんは、土地の周りを飛んでいた蝶々を再び甦らせるため、豊かで何不自由ない生活を放棄することを決心します。
環境保護という壮大な理想に1歩でも近づこうと、それまでに蓄えてきたお金の全てをつぎ込むことになります。
彼は、土石に埋もれた土地を再利用していく作業に取りかかります。しかし、新たにその土地を蝶々園として蘇らせるのは容易なことではありませんでした。
一度、土石流に遭遇した土地は、元々土の中にあった肥料分も栄養分も失なわれ、保水率も良い状態ではなくなってしまうんですね。
そんな土地を開墾し、同時に蝶々が住みつくような自然環境を整えるための知識を、当時の牛伯父さんは持っていませんでした。専門は化学工学でしたから、当然と言えば当然のことだったんです。
植物にとっての環境と蝶にとっての環境
牛伯父さんは当時を振りかえってこう述べています。
「当時の私はまだ何が生態なのかを理解しておらず、蝶々が好きな植物を植えればそれでいいと思っていた。今でも、台湾の学会でそのような概念があるがそれは完全なる間違いだ。」
蝶が好む草花や植物をたくさん植えた後、牛伯父さんは徐々に植物自身の好む環境について考えるようになります。
湿った木陰が好きなのか・・・太陽が燦燦と照りつく風通しの良い乾燥した所が好きなのか・・・はたまた海風の吹く海辺が好きなのか・・・
これらをまず見極める必要があると気付いたのです。
「植物はそれぞれ異なった特性と個性を兼ね備えているから、もし、私達が食物が必要としている環境を理解しなければ、植物がうまく育つのはむずかしい・・・
仮に蝶が好む植物にとって適した環境で、うまく育っていったとしても、蝶が卵を産み付けに来るかどうかは別の問題だ。蝶にも蝶の生態があるから。
注意して観察すると分かると思うが、台湾の至る所に蝶の好む草花が生息しているが、必ずしも蝶々が飛び舞っているわけではないことに気づくでしょう。それは、そこの環境が蝶に適していないからです。」とも述べています。
植物自体が好む環境、そして、蝶の好む環境の両方を考慮しなくてはならないってことなんですね。
ただ単に聞いていると、あたりまえに感じる内容の話なんですが、おびただしい数の蝶が、まさに乱舞している現在の牛伯伯胡蝶園の様子を見ると、とても奥の深い言葉なんだろうなあ、と改めて実感させられます。
(牛伯伯胡蝶園 自然と蝶が大好きなロングステイ派へ Vol-3 へ続く)