客家の古建築
エンサン寺(Enshan Temple)は、淡水鎮の鄧公路上にあるため地元の人に「鄧公廟」とも呼ばれています。
清の道光の時代、汀州から台湾北部に移民する客家人が増加し、彼らは淡水滬尾港で会館も兼ねる廟を建てました。
故郷の汀州の守護神とされる「定光古佛」を祀るだけでなく、後から移民してきた汀州同郷達が台湾に上陸した時、ほんのひと時でもぬくもりや安心感とご加護を感じられるよう願いを込めて建てたのでした。
そのような経緯を経て、エンサン寺は道光2年(1822年)に汀洲府人の張鳴岡らの寄付によって完成し、今日で百八十余年の歴史を刻んでいます。
寺の建築は台湾清朝中期の寺廟の典型的な代表であり、特に台湾で珍しい伝統的な客家の古建築の代表作でもあります。
当時の外観を維持する貴重な建物
今でも道光時代の最初に建てられた時の風貌をそのまま維持し、台湾で唯一完全な状態で保存されている定光佛寺(福建汀州府をメインに、客家地帶に分布している)であり、清の時代の会館でもあります。
会館とは、中国人の一種の地縁に基づいてできた民間組織であり、互いに助け合う事を目的にしたある種の同郷会または県人会の様な団体のことです。汀州府人は仲間に困難が生じないよう、淡水に会館を建てたんですね。
台湾の清の時代における寺廟史上、「定光古佛(汀洲府の守護神)」をメインに祀っている定光佛寺は二つしかなく、そのうちの一つが中部の彰化県の定光庵で、もう一つが淡水のエンサン寺です。残念な事に、彰化県の定光庵は完全な状態ではないそうです。
エンサン寺の特色は、風水学的に大変良いとされる「蛤蟆穴」の形で、「二殿二廊二護室」という空間配置になっていることです。風水に興味がある方は、ロングステイ中に訪れて、研究されるのもおもしろそうですね。
「木彫り」「石刻」「剪黏」だけでなく、一般寺廟でも保存が極めて困難な「塑像」などの装飾内容が豊富で、ほぼ道光時代のままの状態で残っているから驚きですよ。台湾国内でも非常に珍しい存在として注目されています。
「定光佛」の彫像などは、まるで生きているかのようで、当時の施工技術がいかに優れていたかを物語る、まさに巧みの技と賞賛されています。民国74年8月19日に第二級古跡に指定されています。(所在地は台北県淡水鎮鄧公里鄧公路15号)
今回も第二級古跡の紹介となりましたが、さらに客家人の文化や歴史に触れることもできる古跡です。客家文化の探求をロングステイのテーマとされている方にはもってこいの場所となりそうですね。
風水がテーマのロングステイ派にもおススメです。